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温泉に行くと、脱衣所なんかに「温泉分析書」が掲げてあります。
それをみて浴感を想像したり、
逆に、温泉に入ってから「温泉分析書」をみて、
自分の予想した泉質かどうか? 確認してみたりするとたのしいですヨ
なにはともあれ、極上の温泉を探すとき、大変役に立ちますから!

ということで、温泉のお勉強です。

 


温泉とは、「温泉法」により下記のように定義されています。

  1. 温泉源で採取されるときの温度が25℃以上ある。
  2. 溶存物質(ガス性のものを除く)の総量が1kg中に1,000mg以上含まれる。
  3. 別表で規定する特殊成分のうちいずれかひとつが規定量以上含まれる。

一応、押さえておいてください。

では、下の表をどーぞ。
「泉温」 「pH」  「浸透圧」は、極上湯を探すときの大切な指標になります。

泉温による分類
「温泉法」では、25℃以上あれば無条件で温泉とする
また含有成分が規定量に達していれば、法的には「温泉」となる。

冷鉱泉25℃未満
低温泉

25℃以上34℃未満

温泉34℃以上42℃未満
高温泉42℃以上
冷鉱泉・低温泉は、基本的に「加温」されている。ということになります。
温泉も「加温」されてことが多いですが、夏季はそのままで入れる場合もあります。
高温泉は、「加水されている可能性」、「加水する必要がある」または、「湯船への源泉投入量が少ない」場合が多いです。
ですので、高温泉に入るときは、気温の低い冬季に入った方が加水量が少なく(またはかけ流し量が多く)良い状態で入れる可能性が高くなると思われます。

pH値(水素イオン濃度)による分類
水素イオン(H+)は軽い物質なので、含有量的には微量であるが、その含有量は泉質に大きく影響する。
多くなれば酸性に、少なくなるとアルカリ性になる。

酸性pH3未満
弱酸性pH3以上pH6未満
中性pH6以上pH7.5未満
弱アルカリ性pH7.5以上pH8.5未満
アルカリ性pH8.5以上
一般的に、酸性が強いとピリピリと刺激的な浴感。アルカリ性が強いとヌルヌルした浴感が楽しめます。

浸透圧による分類
含有成分濃度により、体に水分が染み込むか、それとも逆に体からでていくのか、ということ。

低張性
(溶存物質総量8g/s未満)
浸透圧により、水分が体内に取り込まれる。
(ただし、入浴による発汗はそれより多くの水分を体外に排出する)
等張性
(溶存物質総量8〜10g/s)

-

高張性
(溶存物質総量10g/s以上)
浸透圧により、水分が体内から排出される。
浸透圧による分類も参考になります。
「高張性の温泉」とは、たとえばキュウリを塩で揉むと水が出てくるように、高張性の温泉に入ると体内の水分が絞りだされます。ということで、浴感的には「ガツンと効いてヘロヘロになる!」って感じ。また実際の温度より低めに感じる傾向があるので、長湯に注意です。

次に、 各泉質について説明します。

「単純温泉」「塩類泉」「特殊成分を含む療養泉」は、療養泉(治療の目的に供しうる鉱泉)に分類される。
他に「療養泉でない温泉」もある。
「療養泉でない温泉」とは、各成分含有量が「温泉法」の基準に達するが、療養泉の基準に達せず、泉質分類できないもの。

 
主な泉質による温泉の分類
掲示用新泉質名代表的な新泉質名旧泉質名

単純温泉
湧出時の温度が25℃以上。溶存物質含有量が1,000mg/kg未満で、特殊成分を含む療養泉に該当しないもの
  
単純温泉単純温泉単純温泉
アルカリ性単純温泉 (pH8.5以上)
ようは成分が薄いということでこう呼ばれる。無色、透明、無味、無臭のものが多いが、主要な成分が泉質の特徴を現していることもあり、なかなかあなどれない。有名な温泉にも単純温泉はたくさんある。

アルカリ性単純温泉系つるつる湯
→ ナトリウムイオン(Na+) と炭酸イオン(CO
32- )がおよそ50mg以上になるとつるつるする傾向にある。


塩類泉
溶存物質含有量が、1,000mg/kg以上のもの。湧出時の温度は不問
 

塩化物泉ナトリウム-塩化物泉食塩泉
陰イオンの主成分が、塩素イオン(Cl-)。
飲用すると塩辛く、塩分濃度が濃いと苦く感じられる。
磯の香りのような弱い刺激臭があったり、臭素臭がする場合もある。色は少量でも鉄を含むと緑色になり、さらに多いと赤褐色に近づく。
塩分が皮膚をコーティングするため湯あがり後もポカポカ感が持続する。
炭酸水素塩泉ナトリウム-炭酸水素塩泉重曹泉
カルシウム(・マグネシウム) -炭酸水素塩泉重炭酸土類泉
陰イオンの主成分が、炭酸水素イオン(HCO3-)。 
重曹(炭酸水素ナトリウム NaHCO
3)を含むものと、カルシウムやマグネシウムを含んだ2種類がある。
重曹泉は、すべすべ・つるつるする触感があり、重曹特有の薬臭がある。色は透明から褐色、黒色まである。
皮膚の角質を柔らかくする作用がある。
重炭酸土類泉は、緑褐色や黄土色が多く土類の金気臭がある。鎮静作用や炎症を抑える力がある。

重曹泉系つるつる湯 → 炭酸イオン(CO32- )が多いとつるつるする傾向にある。

硫酸塩泉ナトリウム-硫酸塩泉芒硝(ぼうしょう)泉
カルシウム-硫酸塩泉石膏(せっこう)泉
マグネシウム-硫酸塩泉正苦味(しょうくみ)泉
陰イオンの主成分が、硫酸イオン(SO42-)。 
飲むと苦味を感じる。透明なことが多いが、金属イオンによって黄褐色のものもある。
芒硝泉は、薬味が特徴。
石膏泉は、焦げたような湯の香が特徴。
正苦味泉は、ピリッとした苦味が特徴。


特殊成分を含む療養泉
湧出時の温度や溶存物質含有量は不問 
 

二酸化炭素泉単純二酸化炭素泉単純炭酸泉
遊離二酸化炭素(CO2)を1g/kg以上含むもの。
新鮮な状態の湯であれば、全身に炭酸の泡が付着することが多い。

炭酸の刺激で、実際の温度より熱く感じるが、しばらくすると冷えた感じがしてくる。ひりひりした入浴感。清涼感がある。

※「遊離」二酸化炭素とは?
二酸化炭素(
CO2)が水に混ざると、そのまま遊離二酸化炭素(CO2)として存在しつつ、一部はイオンに解離する。
CO2二酸化炭素 + H2O(水) → CO32- (炭酸イオン) + H+(水素イオン)
というふうに、ちょっと酸っぱい(水素イオンによって酸性になる) 「炭酸水」ができる。

湧出した温泉に、大量の空気やその他の気体成分が含まれている場合があるらしい。
そんな場合、源泉から湯舟までの距離が近く湯量が多いと身体にアワがつくことがあるそうです。
ということは、お湯が新鮮だということ。二酸化炭素泉ではないけれど、身
体にアワがついたらよろこんでください。(^o^)/

鉄泉鉄(U)-炭酸水素塩泉炭酸鉄泉
鉄(U)-硫酸塩泉緑礬(りょくばん)泉
総鉄イオンを20mg/kg以上含むもの。
湧出時には無色透明だが、空気に触れると変色する。赤い色と渋味が特徴。匂いも鉄の錆びの匂いがする。
緑礬泉は酸性で湧出し、酸味を感じることが多い。

総鉄イオン:鉄(U):Fe2+  鉄(V):Fe3+

銅泉  
銅イオン(Cu2+を1mg/kg以上含むもの。大変稀有な泉質らしい。
 
こうつ(ふいご)温泉 (徳島県)13.5mg
田子町落合川原源泉 (青森県)2.75mg
大谷温泉 (島根県)1.3mg
飯豊鉱泉 (福島県)1.0mg
多田温泉 (島根県)0.6mg
美郷温泉 (徳島県)0.5mg
アルミニウム泉アルミニウム-硫酸塩泉明礬(みょうばん)泉
溶存物質含有量が、1,000mg/kg以上あり、陰イオンとして、硫酸イオンSO42-陽イオンとしてアルミニウムイオン(Al3+)を100mg以上含有するもの。渋柿のような収斂味と褐色の湯が特徴。ロゼワインのような色のものもある。 
酸性泉単純酸性泉酸性泉
水素イオン(H+)を1mg/kg以上含有するもの。多くの場合、遊離硫酸(H2SO4)や遊離塩酸(HCl)の形で含まれ強い酸性を示す。
酸味が一番の特徴。硫黄を含むことが多く、その特徴を併せ持つことが多い。肌にピリピリと刺激があり殺菌力が強い。 
硫黄泉単純硫黄泉単純硫黄泉
単純硫黄泉(硫化水素型)単純硫化水素泉
総硫黄(S)2mg以上含有するもの。単純硫黄泉と硫化水素型がある。
単純硫黄泉は、無色透明無味無臭の場合が多いが、
新鮮だと硫黄臭が感知できることもある。
硫化水素型の特徴は、タマゴ臭(硫化水素臭)。
色はさまざまで透明から白濁、緑色、透明、黄白濁、青白濁、灰色などがある。

総硫黄(S):硫化水素イオン(HS
-) 遊離硫化水素(H2S) チオ硫酸イオン(S2O32-)

硫化水素イオン(HS-)が多いと、緑色になる傾向がある。

放射能泉単純放射能泉放射能泉
8.25マッヘ単位以上の放射能を含有するもの。
ラドン(気体)を含み一般的にラジウム泉と呼ばれている。温泉大国日本でも数が少ない。ラドンは呼吸とともに体内に取り込まれるが、地表に出るとすぐ空気中に拡散してしまうので湯口のそばに入るのがよい。
放射能は感知不能のため透明、無味、無臭であるが、食塩系や炭酸系のものもあり、それぞれの特徴をあわせ持つことも多い。


療養泉でない温泉
「温泉法的には温泉」だが、療養泉の規定には達せず、泉質分類できないもの
便宜上の通称として、含フッ素泉 メタほう酸泉 メタけい酸泉などがある
 

で最後に、「新泉質名解読の法則」。

例えば、これ。
 
酸性・含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉 低張性 中性 高温泉

酸性水素イオン(H+)を1mg/kg以上含有するもの
含硫黄硫黄2mg以上
ナトリウム主な陽イオン成分
塩化物・硫酸塩陰イオン成分で、一番多いのが塩化物。二番目に多いのが硫酸塩
低張性溶存物質総量8g/s未満
中性pH6以上pH7.5未満
高温泉42℃以上

特殊成分(二酸化炭素 鉄 銅 アムミニウム 酸性泉 硫黄泉 放射能泉)を含む泉質の場合は、
「含鉄-」「含硫黄-」「酸性-」のように、泉質名の先頭に表記される。

(-)の前は、陽イオン。(-)の後は、陰イオン。
(・)は、同じカテゴリーを併記するときに用いる。(・)の前にある成分は、後のものより含有量が多い。

 

 

参考Web:参考文献:
温泉の科学 by やませみまっぷる2008 温泉&やど
温泉Hopperさんの温泉とは何だ? 「秘湯、珍湯、怪湯を行く! 」 郡司 勇著
気になる温泉情報・泉源から湯船まで
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』-温泉-
温泉法
鉱泉分析法指針

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